「父さんの再婚相手な、大学生なんだよ」
父の口からそれを聞いたとき、思わず鼻で笑ってしまった。
つまらない冗談だと思った。
それが本当のことだと、私が知ったのは今から半年前だ。
夏には眠れない夜が、ふと訪れたりする。
そして、そんな日は怖い話を聞いたり話したくなったりする。
今日がまさにそんな日だ。
怖い話が聞きたいって人は、よかったら私の話につきあってほしい。
実はさっきまで会社の後輩と飲んでたんだ。
だから今でもすこし酔ってるけど、話すのに支障はないと思う。
後輩にも『母親』とそれに関係することを話をした。
「俺でよかったら、いくでも話聞きますよ」
気立てのいい後輩はそう言って、グラスをかかげた。
店員にすすめられたカクテルに口をつけたあと、
私は私の年下の母親について、後輩に語った。
私と彼女が出会った場所は喫茶店だった。
もちろん、その場には父もいた。
「どうもはじめまして」
私の母親になる女が頭をさげる。
明るい髪が肩からすべりおちて、甘ったるいにおいがした。
その女の見てくれは、いかにも女子大生といった感じだった。
「先生から話は聞いてます。私はカホって言います」
先生……父のことだ。私の父は大学教授をしていた。
「見てのとおり、カホはお前より年下だ。
だけどお前の母親になる女性だ。
最初は戸惑うこともあるだろうが、大丈夫。すぐ慣れるさ」
私はなにも言えなかった。
カホという女が理解できなかった。
なぜこの女は、こんなろくでもない父親と結婚したいと思うのか。
このことに関しては、今でも知らない。
そして、一生知ることもないと思う。
私の本当の母が死んだのは一年前。事故死だった。
母と父の関係は、はっきり言って最悪だった。
ふたりが家にいるだけで空気は張りつめ、肌に突き刺さった
父と母が口をきくのは、口論のときだけ。
母の死が悲しかったのはまちがいない。
だけど安心もしていた。
住人がひとり欠けたことで、私の家は平穏になったのだから。
もっとも。私の家は新しい母親によって、ゆがんでいくことになる。
>>15やることはや○てたみたい
洗濯機にふたりの下着がまとめて入ってたりしたし
喫茶店で会ってから一週間後には、カホは我が家に住むようになった。
「最近はユイちゃんの味の好みもわかってきたつもりだけど、どう?」
カホの質問に私は「うん」とだけ答えた。
カホがこの家で寝泊りするようになって一ヶ月。
このわずかな期間に彼女は、私の好みを正確に把握していた。
私の予想とは裏腹に、彼女は良妻と言っていい働きをしていた。
家事はきちんとやるし、気配りも申し分ない。
大学生活と主婦業をきちんと両立させていた。
「本当に? なんだか歯切れが悪いけど」
カホの言葉に私は首をふるだけで答えた。
>>18 今年で27
「お父さんもいっしょにご飯、食べればいいのにね」とカホが言った。
父は私たちと食事をしないことがよくあった。
正直、私には父のことなんてどうでもよかった。
昔は仲のいい親子だったと思う。
だけど、気づくと私と父の関係はいびつなものになっていた。
「どうして?」と私が聞くと、カホはこう答えた。
「だって、私たちは家族でしょ?」
「家族?」
「ちがうの? 私、なにか変なこと言ったかな?」
無性に反論したくなったが、言葉は出てこなかった。
「まだあの人とは結婚してないから、正確には家族ではないけど」
カホが私の顔を見る。なぜかゾクッとした。
「いずれは家族になる。あなたともね」
「……あなたは私よりも年下なんだよ? なにも思わないの?」
「ちょっと特殊かもね。でも、それになにか問題が?」
「想像してよ」そう言った私の声はふるえていた。
「母親が自分より年上の、娘のきもちを」
「奇妙に感じるかもね。でもそれも、ひとつの家族のかたちでしょ?」
「そんな簡単な言葉ですまさないで」
カホと同居するようになってから、はじめて私は本音を口にした。
「ずっと前から疑問だった。
あんなおっさんと結婚しようなんて、本気で考えてんの?」
カホの表情がわずかにくもった。
「年齢だって三十は離れてるでしょ。どう考えたっておかしいじゃない」
なぜこんなに彼女に突っかかるのか。
自分でも不思議だった。
でも彼女と同じ空間にいてはいけない、本能がそう言っていた。
「だいたい。家族やまわりの人たちは、このこと知ってるの?」
「家族はいない」カホが目をふせた。
家族がいない。その一言で、私は次の言葉を見失ってしまった。
「このことは友達にも知り合いにも、誰にも話してない」
「あなたもおかしいって自覚はあるんでしょ?」
「……」
「だから誰にも言えない。私の言ってること、まちがってる?」
カホが押しだまる。
「そうね、ユイちゃんにはわからないだろうね」
「わかりたくもないね」
私は席を立った。
料理はまだ残っていたけど、食欲は完全に消え失せていた。
部屋を出る直前に背後で「おやすみ」と聞こえたが
扉をしめてそれをさえぎった。
この日はさっさとベッドで寝て、最悪な夜を短くした。
今から考えれば、まだこのときはよかった。
すくなくともカホは、私の中で非常識な女で終わっていたから。
その認識がまちがっていたと気づいたのは、次の日からだった。
次の日。
満足に眠れなかった私は、寝ぼけたまま一階へおりた。
リビングに入ろうとドアを開けたら、カホが扉の前にいた。
思わず出そうになった声を、なんとか飲みこむ。
「おはよう」
私はカホを無視して、そのまま彼女を横切ろうとした。
だけどカホに腕をつかまれて、とまらざるをえなかった。
「おはよう、ユイちゃん」
カホがにっこりと笑った。
昨日のことなど、まるでなかったように。
「おはよう」とさらにもう一度、彼女が言う。
手をふりほどこうとしたが、彼女の力は予想外に強くてふりほどけない。
おはよう、とまたくりかえす。
本気でこの女がなにを考えているのか、想像できなかった。
「おはよう」
声の調子も表情も、なにひとつ変わらない。
私は無意識に息をのんでいた。
「おはよう」
「……」
「おはよう」
私は気づいたらあいさつを返していた。
「おはよう」
「今日もいい天気だね。あっ、冷蔵庫にサラダあるから食べるんだよ」
カホはもう一度にっこり笑って言った。
「じゃあ『お母さん』は大学、行ってくるから」
あの日からカホは変わった。
「ご飯を食べるときは、いっしょにいただきますをしようね。
『お母さん』より先に食べたらダメだよ」
「洗濯機にものを入れるときは、下着や靴下はべつべつで洗うって言ったでしょ?」
「床にものは置いちゃダメだよ。 この前も『お母さん』言ったよね?」
小言が増えただけのように思えるけど、それは誤解だ。
最初のころは、意地になって私はカホの言葉を無視しつづけた。
普通の人間だったら、あるていど無視されれば
怒ったりあきらめたりするはず。
だけど彼女はちがった。
延々と同じことを言い続けるのだ。
一文一句、完全に同じことを。同じ調子で。
一度、根比べのつもりで彼女の言葉をずっと無視した。
だけど一時間経過しても、彼女は同じ言葉を繰り返しつづけた。
最後には私が根負けして、彼女の言葉にしたがった。
そして今も。
「使わないコンセントはぬいて。前にもそう言ったよね?」
「……」
「使わないコンセントはぬいて。前にもそう言ったよね?」
いつもの笑顔で、同じ言葉を吐きつづけるカホ。
我慢の限界だった。
気づいたときには、私は彼女の言葉をさえぎるように叫んでいた。
「なんなのあんたは!?
注意するなら普通に注意すればいいじゃない!?
なんでそんな同じことをずっと言っていられるわけ!?
頭おかしいんじゃないの!?」
みっともなく声は震えていた。カホの唇が止まる。
「私に構う暇があるなら、あの人の面倒を見ればいいでしょ!?」
言葉は吐き出すほど不安に変わって、私にのしかかっていく。
必死でカホをにらむ。
私の叫びなど聞こえていないかのようだった。
カホの笑顔は微塵も崩れることはなかった。
そして。
「使わないコンセントはぬいて。そう言ったよね?」
カホは言った。さっきと寸分変わらないトーンと微笑みで。
声にならない声が喉から漏れ出た。
私はリビングを飛び出して自分の部屋へと逃げた。
扉を勢いよく閉めて、鍵をかけた。
布団へと潜りこんで耳を塞ぐ。
「お母さん……!」
私は祈るようにそうつぶやいた。
扉をノックする音が、耳を塞いでいるのにも関わらず聞こえた。
『使わないコンセントは抜いて。そう言ったよね?』
あの女の声が扉越しに私を追い詰める。
目をきつく閉じる。
なのにまぶたの裏では鮮明に、カホが微笑んでいる。
『使わないコンセントは抜いて。そう言ったよね?』
「……はい。ごめんなさい」
私は声をしぼり出した。
扉のむこうでカホが満足そうに笑った気がした。
『ユイちゃんは本当はできる子だもんね』カホは言う。
『『お母さん』がどうこう言わなくても、一人でなんでもできるもんね』
はい、と私は反射的に頷く。
『今度は同じことを『お母さん』から注意されちゃダメだよ』
カホが扉からはなれていくのがわかる。
安堵のため息がこぼれた。
それから二ヶ月が経って、カホと父は入籍した。
式はあげなかった。
私は家のことについて考えるのをやめた。
そして。
カホの異常は父にまでおよぶことになる。
二人が結婚してから一ヶ月。
私はカホの異常性が、父にまでおよんでいたことを知る。
このころの私はカホの言うことを、素直に聞いていた。
そうすることでやりすごしていた。
この日は仕事がやすみで夜遅くに帰宅した。
『なんだカホ。俺がなにかしたのか?』
ブーツを脱ごうとしたときだった。
父の声がリビングの扉越しに聞こえてきて、私は手を止めた。
『なにを怒っているの?』
カホの声は父のそれとは対照的に淡々としていた。
『お前こそなんなんだ? 俺がなにかしたのか?』
『言ってる意味がわからないよ。
お風呂入ったら、って言っただけじゃない』
そこでふたりの会話がとまる。
父がリビングから出てきた。
父は私に気づいたが、なにも言わずに二階へあがっていった。
「おかえり、ユイちゃん」
カホがリビングから出てくる。
「なにかあの人とあったの?」
「べつになにもないよ?」
「あの人が声を荒らげてるのなんて、見たことないんだけど」
きっと疲れてるんだよ。
それだけ言うとカホはリビングに引っこんだ。
カホの異常さはいやでも目についた。
その日はめずらしく『家族三人』での食事だった。
だけど、会話らしい会話はほとんどない。
カホが一方的にしゃべっているだけ。
以前までは父も話していた。
だけど最近は、声を聞くことさえなかった。
父が食事を終えて、リビングから出ようとしたときだった。
「お風呂に入るでしょ?」
静かな居間に、カホの声がひびく。
父は立ち止まりこそしたが、ふりかえりはしなかった。
その背中にカホはまた同じ言葉をかける。
「お風呂に入るでしょ?」
「……あとにする。先にキミが入れ」
「お風呂に入るでしょ?」
背筋が薄ら寒くなるのを感じた。
この女はついに父にまで、自身のもつ狂気を向けたのだ。
「俺はやることがあるんだ。
あとから入るからお前とユイが先に入れ」
父の声は明らかに苛立っている。
「お風呂に入るでしょ?」 何度目かになるカホのセリフ。
カホの顔には、あの微笑みが張りついていた。
「お風呂に入るでしょ?」
父がカホを振り返る。
「……わかった。入るよ」
「うん。一番風呂で寒いかもしれないけど我慢してね。
あ、お父さんが出たら次はユイちゃんが入ってね」
私はだまってうなずいて料理を口にする。
口にふくんだカホの料理は冷めきっていた。
カホのせいで家の中の空気が、変化していくのを私は感じとっていた。
重くのしかかるような空気が、家全体を覆っていく感覚には覚えがある。
この家が私にとって、心安らぐ場所だったのはいつのころだったのだろう。
ここのところ、まどろみの中で『母』をさがす夢を見る。
この日もずっと『母』をさがしていた。
だけどなにか大きな音がして、唐突に現実に引きずり戻された。
からだを起こして、机のうえの目覚まし時計を確認する。
時刻は夜中の二時だった。
音はリビングから聞こえた。
私がリビングへと駆けつけると、父とカホがいた。
カホは床に座りこんで頬をおさえていた。
「な、なにがあったの?」と私の問にはふたりとも答えなかった。
「お前が悪いんだ……」
父の顔は怒りに強張っていたけど、同時に紙のように白かった。
やせ細って骨ばった父の拳には赤い血がこびりついている。
呆然とする私を父が横切ってリビングから出ていく。
「どこへ行くの!?」
私は父を問いただすために追おうとして、結局やめる。
カホの様子を見ることを優先した。
「大丈夫?」
唇の端が切れたのか、出血していた。
父がカホに手をあげたことに、私はなぜかショックを受けていた。
「言いすぎちゃったのかな。怒らせちゃったみたい」
カホがおかしそうに笑った。
笑うと唇が痛むのか、その微笑はいつもとちがっていた。
「またなにか言ったの?」
「少し注意しただけだよ、わたしは」
「それだけで手をあげたって言うの、あの人は?」
「そういう人でしょ、あの人は。
あなただってそんなことぐらい、わかってるくせに」
私は肩をかして、ソファにカホを横たわらせた。
「前にも聞いたけどさ。なんであんな人と結婚したの?」
カホが答えようとしないので、私はそのまま続ける。
「あの人はクズだよ。お母さんだってあの人のせいで……」
「そうだね」
カホは自分のお腹に手をおいた。
「あの人は奥さんがいても、平気で不倫とかしちゃう人だからね」
母の生前、父が不倫をしていたことを私は知っていた。
そして、その不倫相手の一人が目の前の女なのだ。
「わかってたんでしょ? 」私は言った。
「アイツが人間としてどうしようもないクズで、最低なヤツだって」
「ええ、もちろん」 とまたカホは笑う。
「じゃあ、どうして!?」 と私は思わず声をあらげた。
「幸せになるためよ」
カホ自分の腹部へと視線を落とし、
そのまま自身の手を腹部へともっていく。
「どんなことをしてでも、なにをしてでも」カホの声が冷たくひびく。
「わたしはわたしの幸せを手に入れるの」
「どんなことをしても……?」
「ええ、どんなことをしても」
幸せになる。
カホが自分に言い聞かせるように、もう一度言う。
その言葉はしばらく私の鼓膜にこびりついて、はなれなかった。
「……とまあ、だいたいこんな感じなわけ」
私は話すのをやめて、カクテルを思いっきりあおった。
「先輩、飲み過ぎじゃないですか?」
後輩の声がぼんやりとしか聞こえなかった。
この時の私は、たぶん酔っていたのだろう。
「それで? そのあとはいったいどうなったんですか?」
「お父さん? 死んだよ」
後輩の顔がかたまる。
予想通りのリアクションだった。
やめろ
「正確に言うと、殺されたんだよ」私は続ける。
「さっきも話したけど。
父がカホに手をあげて、一週間ぐらいしてからね」
「そうだったんですか」
後輩がしぼりだすように相槌をうつ。
「てっきりさ、殺したと思ったんだ」
「え?」
アルコールのせいで、言葉がチグハグになってしまう。
私は言い直した。
「だから、カホがあの人を殺したと思ったの」
「……なんでですか?」
後輩の声が低くなった気がした。
私は構わずに言葉を続ける。
「いや、単なる勘。だって、ありそうな話じゃない?
暴力ふるわれた女が、それをきっかけに男を殺そうとするって。
ありそうじゃん、サスペンスとかで」
「でも、その人は先輩のお父さんを殺してないんでしょ?」
「おそらくね」と私はためいきをつく。
「父が殺された時間帯、あの女には完アリバイがあったみたい」
そう。私の予想は外れた。
捜査の結果では、カホには完全なアリバイがあったらしい。
「犯人は捕まったんですか?」
「全然。いまだに捜査中だね。 もう半年近く前の話なんだよね」
「本当に警察ってば捜査してんのかな」と私が言うと、後輩は苦笑いした。
「犯人、早く見つかるといいですね……」
「そうだね」
私の返事は自分でも笑ってしまうほどにぞんざいだった。
「きみも気をつけて。世の中本当に物騒なんだから」
「そうっすね。オレも全身殴打で死亡とかいやですからね」
「はは、それは私もだよ」
違和感が脳のどこかで引っかかる。
でも流し込んだアルコールのせいで、
その違和感は、あっという間に喉のおくに消え失せた。
「とりあえず、店出ましょうか」
後輩に会計をまかせて、私は店を出た。
遅れて後輩も出てくる。
夜風が肌を突き刺してくると、不意に不安が頭をもたげた。
「今日はありがとね。私の話、聞いてくれて」
「いや、少しでも先輩の力になれたならよかったですよ」
鼻のおくがツンとした。
アルコールのせいなのか、私は情緒不安定になっているのかもしれない。
「ここんとこさ、私の生活めちゃくちゃでね」
「……先輩」
気づくと視界が滲んで、目の前の後輩の輪郭さえ曖昧になっていた。
「もう、どうしたらいいのかわかんないよ……」
知らず知らずのうちにあふれてきた涙は、なかなか止まりそうになかった。
そんな私の手を、後輩は両手で包んでくれた。
「大丈夫ですよ、先輩」
後輩の手は暖かかった。
私は彼を見あげた。
後輩はさわやかに私にむかって笑ってみせると、
「先輩、大丈夫ですよ。俺がついてますよ」
その言葉がどういう意味なのかを聞き返そうとする前に、後輩の手が離れた。
彼は照れくさそうに笑っていた。
「じゃあまた今度会いましょう」
「……うん」
後輩とわかれて帰途につく。
私は彼が握ってくれた手に自分の手を重ねた。
彼の体温が逃げないように。
家に帰ると、カホがいつもどおりに私をむかえた。
父が死んでからもその笑顔は相変わらずだった。
「おかえり。今日は遅かったんだね」
「うん、まあね」
「なんだか気分よさそうだね。いいことでもあった?」
「べつに」
「この前、結婚について少し触れたけど、まだ細かいことは話してないでしょ」
そういえば、父が死んでからもうすぐ半年、つまり六ヶ月が経過しようとしていた。
「今度、私のその結婚相手の人に家に来てもらおうと思うの」
「そう、どうぞ勝手に」
この女のことなど、どうでもよかった。
玄関に腰かけブーツを脱ぐ。
足はすっかりむくんでしまっていたが、気分は悪くはなかった。
「それで結婚相手の人なんだけどね」
――って言うの。
「……え?」
私は反射的に背後にいるカホを振り返っていた。
カホの右手の薬指には、指輪が光っていた。
その手は彼女の腹部に置かれていた。
「今なんて言った?」
「だから、結婚する人の名前なんだけど」
カホがもう一度結婚相手の名前を言う、とても嬉しそうに。
カホが言った結婚相手の名前。
それは、私がさっきまで一緒に飲んでいた後輩のものだった。
ここまで付き合ってくれてありがとう。
こうしてキーボードを打つことでだいぶ冷静になってきた。
だけどもうなにも考えたくない。
考えたくないの。
明日も早いしもう寝るね、おやすみ。
とにかく乙
色んな意味で恐い
現在進行形かよ…
下手なホラーよりこえーし